少女は野犬を殺した記憶よりも前の記憶が一切なく、自らの名前がミカヅキ・リクドウであることしか覚えていなかった。
当時も今もリクドウという名字は存在せず、刀を絶対に手放さない不気味なこの少女の生い立ちは下流民街の下級警察たちを大いに困惑させた。
そして警察たちは少女の美しい見た目に惹かれ天涯孤独で記憶喪失なのを良いことに慰みものにしようと画策したが、包丁を振り回すような粗雑な剣術は別として年を考えなくとも異常なその身体能力の高さに怪我人が続出したため警察たちも手を焼いていた。
昔から上級警察に目をつけられないようにと事なかれ主義だった下級警察が手込めに出来ないと判断し出した結論は、発見者である猟師を無理やり後見人として適当な簡易戸籍を発効し留置場から追い出すことだった。
天涯孤独、記憶喪失。その時点でミカヅキの手にしたものといえば、日本の下流民街における簡易戸籍、後見人、そして刀のみであった。
それからミカヅキは後見人の家に引き取られることとなり突然出来た幼いながらも美しい同居人に猟師の方は歪んだ情念を胸に秘めたまま暮らしていくこととなった。
<名前>ミカヅキ・リクドウ(六道三日月)
<通称>ミカ
<性別>女
<年齢>15才
<身長>138センチ(自称140センチ)
<種族>人間
<一人称>あたし
<出身>?
<職業>ハンター、高校一年生
<説明>
ハンター兼高等教育生徒。
生い立ちについては一切が不明。
とある猟師が変異種獣狩りのため猟場としていた山林に足を踏み入れたところ、獲物である変異種の野犬の死骸が大量に散乱していた。
不審に思った猟師が大型の変異種でも出たのかとその中心に近づくと、そこにはボロボロの刀を手にした10才ほどの少女が倒れていた。
その少女は衣服もボロボロ、靴すら履いていない有り様だったため猟師が当時の下流民街の行政へと通報、下級警察にそのまま保護される。